2012年10月27日土曜日

大手ゲーム会社から独立の苦悩を語る(後半)


前回投稿の続編。NGUI作者は結局どうなった?!

October 25, 2012, 01:52:44 AM
そして失望

お気づきのとおり、この頃には将来的な不安が膨らむばかりだった。ゲームの完成度は高いと自負している。マルチプレイヤー対応、豊富な船舶やマップ、武器、レベルアップシステム、IRCチャット。購入後、未来永劫フリーで遊べることさえ出来る。でも結果的に人を惹きつけることなくオンラインで多くて2人ぐらいしかいない閑古鳥だった。開発7ヶ月目には決断するしかなかった。もうダメだ、と。

最終的に8ヶ月間の開発とこの文章を書くに至るまで、開発に71,000ドル(約568万円)および自分の時間のほとんどを投じて回収できたのは100本分を7-10ドル(約500-800円)の単価で約800ドル(6万円)ほどの売り上げで計70,000(約560万円)の純損失。

その一方で、NGUIで引き続き前職の3倍を稼ぐことが出来た。初期リリースから11ヶ月たっても、だ。

日々見ている統計情報によれば、一年前にアセットストアに出品したゲームスターターキットは2週間ぐらい時間かけたもので月間700-1500ドル(約5-12万円)の収入になっている。粗く見積もって殆ど時間かけてないのに13,000ドル(約104万円)の純収益で、一方では7ヶ月の間、週100時間働き続けて70,000(約560万円)の純損失。

もう言うまでもないだろうが、これらの統計情報もみて、さらにSteam GreenlightやDesuraのサイトでみたゲームの新リリース情報への閑古鳥の反応もみて最後は決断した。終止符を打って別の道を模索するしかないな、と。

変化がおとずれる

面白いことに、先月Windwardをどうするか悩みまくっていた丁度そのときにUnity社のSteffenからメールを受信した。彼は僕が今後どうするのか興味を示してくれていて変わるべきときじゃないか、といってきた。実は最初は笑って受け流してて、まさかUnityでNGUIメンテナンスと同じ額面の給料を出すことは難しいだろうし、ゲームキットや便利パッケージに本気を出したらもっと稼ぐことだって出来る。でも結局は、「まあいいかな」と考えてみて実際に会ってみることにした。

どうするかどちらとも決めてなかくて、大体独立した自分が「誰か」のために働く理由もなかった。ただ深く考えていくなかで自分はNGUIとWindwardどちらにも満足していないことに気づいた。Windwardは失敗そのものだったし、NGUIではUnityの制限を迂回する開発ばかり余儀なくされていた。TransformのPosition/Rotation/Scaleの変更をUpdateごと全てのウィジェットに対してチェックする必要があったりした。これらの迂回した開発はパフォーマンスにマイナスに働き、もっと早く動作するUIを遅いものにしていた。さらにはNGUIだけで解決できない変更希望として、複数Atlasを使用しているユーザがZバッファとDepthを両方意識させることで苦労をかけている状況もあった。

最後には自分に簡単な問いかけをしてみることにした:「NGUIに満足だったのか、自分はもっと出来たはずだったか?」自ずと答えが出たのだが、自分は満足なんかしていなかったし、Unityエンジンに深く関わる権限があればもっと出来るに違いない。Unity Technologies社でなら自分はその権限がもてるし、さらに可能性が広がる。

Unity Technologies社のオファーを受け入れた。全ての始まりは入社の11月1日からだ。

今年は本当に面白い年を過ごせた・・・
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掲示板のFAQによればNGUIも引き続きサポートする意向であるとのことだ。

複雑な心境のなかで、開発に対する熱意と向上心が最後の決断ポイントだったか。後悔しない人生を選択した、と感じていて強く支持したい。

なおNGUI作者の話は興味深いのでこのブログでも数回取り上げている。気になる方はバックナンバーを是非チェック!

NGUI ちょっと息抜き:「天才作者」について
http://gamesonytablet.blogspot.com/2012/07/ngui_3632.html

NGUI ちょっと息抜き:「天才作者」について(続編)
http://gamesonytablet.blogspot.com/2012/07/ngui_30.html

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