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Oculus VR ベストプラクティス ガイド【DK2対応】(非公式翻訳)
http://gamesonytablet.blogspot.com/2014/08/oculus-vr-dk2.html
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Oculus VR ベストプラクティス ガイド【DK2対応】(非公式翻訳)
http://gamesonytablet.blogspot.com/2014/08/oculus-vr-dk2.html
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Oculus VR ベストプラクティス ガイド 付録
v0.007 (2014年1月16日)
最新版およびもっとも最新の情報については下記サイトを訪問下さい:
作者 :
Richard Yao
Tom Heath
Aaron Davies
Tom Forsyth
Nate Mitchell
Perry Hoberman
このガイドの目的は開発者が次の観点を最大化するバーチャルリアリティを実現することです:
- 眼球運動の快適さ - 目の疲れを回避
- 身体的な快適さ - 方向感覚の欠如と吐き気
- ポジティブなユーザ体験 - 楽しく、没入し魅力ある体験
注意:他のどのような媒体でもいえるように休憩なしの過剰な使用は開発者、エンドユーザ、あるいはデバイスそのもののためにも推奨しません。
本資料はドラフトであり法律および医学の専門家による監修待ちです。
付録 A - ベストプラクティス ガイド 前書き
- このガイドにより快適でユーザビリティの高い VR コンテンツを作成する手助けをします。最新の情報については http://developer.oculusvr.com/best-practices を参照して下さい。
これらの Appendix により Oculus Rift での バーチャルリアリティ(VR)体験についての前述で
ようやくされたベストプラクティスの詳細を見ていきます。ベストプラクティスとは高い品質を保証する手法であり、VR のように発展途上な媒体の場合は特に重要なものです。Oculus SDK の概要やドキュメンテーション、また統合ゲームエンジンライブラリ(例えば Unity, Unreal Engine, および UDK) のドキュメンテーションは http://developer.oculusvr.com に掲載しています。
VR は没入感を体現する媒体です。バーチャルな三次元世界(あるいは電子的に再現された現実世界)に完全に連れて行かれたかのようなセンセーションを巻き起こします。さらにスクリーンベースのメディアと比べて遥かに衝動的な体験を提供します。脳を継続的に騙し続けるにはディテールへの細かな配慮が必要です。例えるならば部屋の窓を通して中を覗きみることと、ドアの中に入って自由に動き回ること、ぐらいの違いがあります。
Oculus Rift はあるカテゴリーにおいて初めて実現された VR システムといえます。それは低価格で、高品質なデバイスにより幅広い視野角と最小限のラグ、というグループです。現在に至るまで VR は研究所や、政府機関、あるいは財力のある企業に限定されていました。Oculus Rift により、開発者、設計者、さらにアーティストがリーダーシップをとって、グローバルな顧客層に対して想像力溢れる世界が提供されています。基本的なベストプラクティスを知らずに VR 体験を作り上げようとすることは、シミュレータ酔いの原因となり眼精疲労、方向感覚の欠如、吐き気が組み合わさります。歴史的に多くの問題は VR ハードウェアが最適化されないパラメータ設定、例えばシステムのレイテンシ等が根本原因となっています。Oculus Rift は VR デバイスの新世代の代表格であり、過去のシステムの欠点を克服しています。しかし、例えハードウェアに欠陥がなくとも、不適切に設計されたコンテンツにより快適な体験が実現されないことがあります。
VR は比較的難解で独特のルールがあるため、信頼ある見解を示すには十分に検証されていない側面があります。こういったケースにおいては、まだその状況であることともに理論上の見解とこれまでの観察を示しています。興奮できる快適な体験を設計するにあたりユーザテストは絶対的に不可欠です。メジャーな媒体として VR が普及するにはまだ歴史が浅く、信頼できる確立された手法が十分あるといえません。この点についてはOculus Rift コミュニティの皆様がフィードバックを下さることで、これら VR ベストプラクティスおよび適切な手法を成熟化できることを切に願っています。
付録 B - 視野角およびスケール - SDK バージョン 0.2
- 現実世界 FOV(視野角) およびバーチャル世界 FOV (以下、各々 cFOV と dFOV と略す)は必ず一致させる必要があります。要は、一般論としてデフォルトの FOV を変更しないことです。
正確性を期すため、「視野角」の異なる用法をきちんと区別することから始めます。ディスプレイの FOV (dFOV) の定義はユーザの視野角のうち VR コンテンツを占める部分、です。これはハードウェアおよび視覚の物理的な特徴といえます。もうひとつの FOV とはカメラの FOV (cFOV) であり
任意のタイミングでバーチャル世界の中でカメラがレンダリングする範囲、を意味します。全ての FOV は垂直、水平、かつ/または斜めの寸法により定義されます。
従来のスクリーンベースの CG ではカメラの cFOV を任意にセットすることは自由であり、例えば広角の魚眼レンズから狭角の望遠レンズまでセットできました。
モニターのイメージが単に二次元のオブジェクトで、画面を見ている人の全体の視界の中で見えているために、これは実現できます。画像は魅力的かもしれませんが、ユーザの視界全体を占めるわけでないので、cFOV と dFOV の際はほとんどの人に影響ありません。
バーチャルリアリティの世界では外部の空間を見ることがありません。バーチャル世界は視野角の大部分を占めて、頭の動作に合わせた唯一の視覚的フィードバックとなります。このために cFOV と dFOV が完全に一致する必要があります。これらの二つの値の比はバーチャルリアリティの世界ではスケールと呼ばれます。スケールはつねに1.0 であるべきです。dFOV と cFOV の差異は非常に不快となりがちです。シーンのスケールは現実世界の縮尺と合わず映ることになり、デフォルトの歪み補正値はレンダリングされたシーンがワープするかのようになります。カメラの FOV を調整すると、シミュレータ酔いを引き起こす場合があり、前庭器-視覚反射(VOR)の不適応につながり、ひいては頭の動作の差異にオブジェクトに対する焦点が安定しなくなります。
どのような状況でも FOV 関連のデフォルト設定を変更すべきではありませんし、SDK が指定したとおりにビューがスケールすることに注意を払うべきです。別の箇所でも述べたとおり、ほぼ合っているのに合っていないこと自体が分かってしまう場面は良くあることであり、結果的にユーザに方向感覚を失わせ、不快感が生じます。
付録 C - 両眼視、ステレオ3D、およびデプス キュー
- 両眼視差により立体感は脳内で判断されます
- OVR 調整ツールを使用してバーチャルカメラ間の距離をユーザの瞳孔間の距離と一致させます
- テクスチャおよびライティングにおいて、単眼のデプス キューを軽視すべきでありません
- オプションとしてモノスコピック映像 (従来の映像) モードを準備して両目とも同じ映像を映せるようにします
- 現実世界でオブジェクトは視点から 50cm から 2m 離すともっとも快適にみれますが、VR でも同じ法則が適用できます
- 確実各々の目の画像が整合して適切に統合されるようにして下さい。片方の目でのみ映る、または著しく異なる場合はひどく見えます
基本
両眼視は同時に二つの世界をそれぞれの目で見る際に、わずかな差異があり、脳内で統合的に判断して立体のステレオスコピック映像とする様子を表し、あるいはこの体験をステレオプシスとも呼びます。左右の目の視差により両眼非対応が生まれます。ステレオプシスが起きるのは現実的な物体を左右からみても、あるいは二つの平面画像を適切な差異(つまり非対応)でみても、同様に発生します。Oculus Rift は二つの画像をそれぞれの目に表示して、短い距離で分けられた二つのバーチャルカメラで生成します。いくつかの用語の定義を順にみていきます。目の間の距離は瞳孔間距離(IPD)と呼ばれ、二つのバーチャルカメラの間の距離はカメラ間距離(ICD)と呼びます。IPDは 52mm から 78mm の間で変化するとはいえ平均的な IPD (米軍兵士4000名の統計)は 63.5mm であり、Oculus Rift の軸間距離(IAD) と一致します。IADとは Oculus Rift のレンズの中心間の距離です(本ガイドのバージョンでの定義)。一般的には ICD はユーザの IPD と一致すべきであり(IAD ではなく)、そのようにしてバーチャル世界はユーザに対して正しく拡大/縮小されます(図 1 を参照)。図 1: 左右のシーンカメラの間のカメラ間距離(ICD:左図) はユーザの瞳孔間距離(IPD:右図)と一致させるべきです。
単眼デプス キュー
ステレオプシスは脳が処理する数多くのデプス キュー(奥行きの手掛かり)のうちのひとつです。他のデプスキューのほとんどは単眼です。つまり片目だけで視る、あるいは両目で平面画像を視たとしても立体を認識します。VR の場合、頭部の動作により動作視差はきわめて重要です。他の重要なデプスキューに含まれるのは: 透視(遠くに向かうものは消失点に向かって見える)、相対スケール(遠くのものが小さく見える)、オクルージョン(近くのオブジェクトが遠くのオブジェクトの間の視界をふさぐ)、大気透視(大気の屈折により遠いオブジェクトがぼやける)、肌理(きめ)勾配(同じ肌理、つまりテクスチャなら遠いほど細かく見える)、そしてライティング(ハイライトおよびシャドウによりオブジェクトの形状と位置を認識する)があります。現世代の 2D コンテンツは既にこれらのデプスキューの多くを活用していますが、ここで言及している理由はステレオ 3D の斬新さを考慮すると重要性を軽視しがちであるためです。
人間工学の観点、および避けるべき潜在的な問題点
人は視点から50cmから2m離すともっとも快適にみれるものです(人により最適な距離は異なりますが)。オブジェクトが視点に近いほど二つのビューは異なるものとなり、輻輳(目を内向きにすること)しないとオブジェクトを視れなくなります。もっとも近づいた状態になるにつれてオブジェクトをひとつの映像として統合することが難しい、場合によっては不可能となり、そうしようとすること自体が不快な体験となります。そのように近いオブジェクトにユーザが焦点を合わせることを避けるべき理由が前庭器-視覚反射であり、眼のレンズは二つの眼の輻輳する地点に焦点を合わせようとします。しかしRiftの視覚は眼の輻輳する地点と必ず一致しない一定の距離に表示される画像をシミュレートするために、眼が正しくオブジェクトに焦点を合わせることが難しくなり、眼精疲労や不快感につながります。
当然ながら、オブジェクトの目の前数センチまで近づいた位置でずっと見続けるユーザがいたら避けることは出来ません。これにより眼精疲労につながることが分かっていても、イレギュラーなケースを防止するためだけに例えばオブジェクトに一定距離以上は近づけないように衝突検知を導入するなどと過剰な対応をすることはトータルでみたユーザ体験を損ねるだけです。しかし、ユーザの視野角に保持されるとあらかじめ開発者が分かっているもの(例えばアバターの武器や手など HUD 要素)については、カメラから少なくとも 50 cm 離して快適さを最大化すべきです。
それに加えて適切な場面でユーザが調整できる設定、例えばユーザが好む距離で HUD の立体度を決められる設定、など実装することは考えるべきです。カメラ間の距離を変更することはユーザにとって大きな影響を与えます。もしカメラ間の距離を増加させると、ハイパーステレオと呼ばれる体験、すなわち立体度が誇張されてしまう事象が生じます。もしカメラ間の距離を減少させると、立体度は弱まり、この条件をハイパーステレオと呼びます。カメラ間の距離を変更することはユーザにとってさらに二つの影響があります。一つめの影響は特定のオブジェクトを視るために輻輳が必要な程度が変わります。カメラ間の距離を増加させると、ユーザはより輻輳をしないとオブジェクトが見えなくなり、これは眼精疲労につながるかもしれません。このために人為的にカメラ間の距離をユーザのIPD以上に増加させないことを推奨します。
カメラ間の距離を変更することによる二つめの影響はユーザのスケールの感覚を狂わせることがあることです。例えば、カメラ間の距離を人にとって自然なレベルより大きく(例えば 1m)するとバーチャル世界はミニチュア化したように見えるようになります。これは小さなオブジェクトを間近で視たときしか遭遇しないくらいの両眼視差を生み出すからです。現在われわれはこの影響への対応を今後のSDKバージョンの中で対応するように考えてますが、ユーザの快適さを失うことなく、この影響への対応をする理解が深まるまでは、それを試すことさえも推奨しません。
同様に、ハイパーステレオで実験することは推奨しません。その一方で、言っておきたいこととしてICDをゼロにセットする(すなわち両目に同じ映像を提示すること)は立体視による映像の視聴から生じる不快感は解消することが出来ます。たとえこれは立体視できるVRヘッドセットの目的と反するようでありながら、苦手で不快感を生じるユーザにも選択肢を増やすことにつながります。さらに広い視野角、単眼デプスキュー、そして環境を見回せるだけでも没入できる体験とはなります。推奨として モノスコピックモードをオプションとして用意して両目とも同じ映像を表示できるビデオ設定をユーザが選択できるようにすべきです。
さらに二つの目の間の映像が両眼視差の角度がわずかに異なると以外、違いがない映像を提供することも大事です。大きな差異があるとすぐに気付くことになり、映像を斜視しているかのような感覚となります。ただし小さな差異も同様に、問題となることがあります。例えばレンダリングでの エフェクト(ライトの歪みまたはパーティクル エフェクト)は両目ともに表示され、視差のみが差異となるようにすべきです。それが出来ないと最終イメージはチカチカしたりキラキラしたりすることでユーザとしては不快な体験となります。
付録 D - レンダリング技法
ディスプレイ解像度
- 細かい表示を行う際には、Riftのスクリーン解像度(の低さ)に気を配ってください。文章を可読にするため十分大きく鮮明にし、ユーザーが注意を向ける部分では薄いオブジェクトや装飾的なテクスチャを避けてください。
最初のOculus Rift開発キット (DK1)で用いられているディスプレイパネルは1280x800の解像度を持っており、視野角はおよそ100°です(正確な視野角はレンズとユーザーの眼の間の距離、そしてIPD(瞳孔間距離)に依存します)。これは視野角1度あたり、6pxに相当します。ディスプレイ[製造]技術が向上するにつれ、Oculus Rift[の性能も]向上するので、将来のモデルではより高い解像度の体験を提供できる予定です。
[DK1の解像度では]個々のピクセルが見えてしまうため、スクリーンドア(網戸)効果というアーティファクトが引き起こされ、画像に黒い格子模様が重なって見えます(図2)。格子模様は実際にはピクセル感の空白です。これによりエイリアシングが発生し、遠くのオブジェクトの細かいディティールが失われます。解像度を上げることでこの問題は軽減されますが、現在のディスプレイ[製造]技術で実現可能なピクセル密度ではスクリーンドア効果を完全に除去することは不可能です。
図2: スクリーンドア(網戸)効果
レンダリング解像度
Riftのディスプレイ解像度は1280x800ですが、射影変換によりレンダリングされたシーンが通常のようにディスプレイに表示される前に、レンズの影響を打ち消すために歪められる必要があります。この処理の詳細はSDKで解説されています。重要なのは、射影と歪みの処理により、画像内の位置によってピクセル密度が変化するということです。特に、画像の端の部分は圧縮されます(そして、レンズにより眼に届く前に拡大されます)。これらの処理により、Riftの限定的な解像度はもっとも細かさが必要とされる中心部分に集まります。よって、Riftの中心部分の解像度に合わせて3Dシーンを通常の線形な射影を用いてレンダリングするには、Riftの物理的なディスプレイ[の解像度]よりもかなり高くする必要があります。
これらの詳細のほとんどはSDKにより処理されますが、Riftの物理的解像度がシーンのレンダリング対象に使われる解像度に直接対応しないことを把握しておくのは重要です。具体的な例として、レンズと眼の距離が10mmで横向きの視野角が100°のとき、中心部におけるRiftの解像度にマッチさせるには、それぞれの眼について幅910px、合計で幅1820pxが必要です。これは物理的なディスプレイの幅よりもかなり大きく、レンズによる画像の歪み方に直接の原因があります。
性能の低いグラフィックボードでは、このような巨大なレンダリング対象によりフレームレートが低下しVR体験が劣化する可能性があるため、アプリケーションは解像度を落として性能[(フレームレート)]を向上させることを選択することもできます。このとき、Riftに送る解像度を下げるよりも、シーン内で用いられているテクスチャの解像度を下げるほうが好ましいと言えるでしょう。テクスチャの解像度を下げることでパフォーマンスを向上させつつ、できる限り視覚的なディティールを保つことができます。この処理の詳細はSDKで説明されています。
動的にレンダリングされたimpostor
この手法を用いることで、シーン全体を両眼のために二回レンダリングする計算負荷を削減することができます。シーンの一部をテクスチャにレンダリングすることで、レンダリング時間の主要部分を一回だけにし、その後、テクスチャをそれぞれの眼についてレンダリングすることができます。
付録 E - モーション
- 遅い移動速度 (歩行/ジョギングのペース) が新しいユーザにとっては最も快適です。
- あらゆる加速は短く、また頻度を少なくします。
- ユーザの動作およびカメラは必ず同期すべきです。
- FPSゲームで頭を揺らす動作は使用しないで下さい。
- 後ろ向きや横向きに移動する必要性を最小化した体験はもっとも快適です。
画面の大部分を占める階段や繰り返しパターンといった動作を強く意識させるシチュエーションがあることを意識する。
動作のスピードおよび加速
動作のスピードはシミュレータ酔いになるまでの時間に比例しますが、必ずしもその度合いや増加度合いとは相関しません。可能なかぎり動作のスピードを典型的な人間の移動速度に合わせること、最低でもユーザがそれを調整できるようにすることを推奨します(歩行は1.4 m/s、ジョギングは 3 m/s) (図 2)。VRコンテンツについては加速はより大きな問題です。この理由は人間の前庭器が反応するものとして加速が大きな要素であり、加速を実際に頭や体に加えることなく、加速を体験させようとすることは不快感を生じさせます。(その理由についての詳細なディスカッションについてはシミュレータ酔いの章を参照して下さい。
物理的な観点から加速とはユーザのバーチャル世界における任意の速度の変化を表します。通常は加速というものを前方方向への速度の増加として捉えることが多いものの、実際には移動速度の減少または停止、回転、ひねり、あるいは止まった状態からの回転、横方向あるいは縦方向への移動の開始(終了も同様)も含みます。Oculus VR の社内検証結果として瞬間的な加速のほうが徐々に加速するよりも快適であることが判明しています。加速がどれぐらいの長さであっても五感の間で矛盾を生じさせるため、加速の頻度、大きさ、長さにより不快感が増加します。いくつかの例外はありますが、できるかぎり加速の長さおよび頻度を最小化することを推奨します。
操作の自主性
ドライバーが同乗者と比べて車酔いしにくいことと同様に、ユーザが見る映像に対する操作の自主性を増やすことでシミュレータ酔いを防止することが出来ます。強制的に移動させられるのでなく、ユーザが自分で移動できるようにしてカメラを動かし回さないこと、例えばユーザが殴られたり打たれたりしないことです。通常の画面では見映えの良い効果かもしれませんが、VRにおいてはひどく酔うものです。同様にしてディスプレイをフリーズさせてユーザの頭の動作に反応しない状態を避けて下さい。一般論としてユーザの動作とカメラの動作が同期しないことはどのような理由であっても避けて下さい。頭揺れをなくす
いくつかのFPSゲームではカメラを緩やかに上下させることで歩く動作をシミュレーションしようとします。これはコンピュータまたテレビ画面で人間の動作として再現するには効果的かもしれませんが、没入感を伴うヘッドマウントVRにおいては問題になります。常に上下する動作はユーザのビューに対して加えられる新たな加速であり、すでに述べたように不快感を生じることになります。カメラの位置であれ回転であれ、現実世界でユーザが自ら動作していないことを起因として頭を揺らすような動作を導入することは避けることを推奨します。正面および水平方向の移動
現実世界ではじっとしているか、前方に動くことが多いものです。後ろに移動することは少なく、水平方向に横移動(strafe)するということはほとんどありません。このため前方へのユーザ移動がもっとも快適であり、シーンの立体感と連動するデプスキューが提供されます。見る側はシーンの中心に焦点を合わせがちですが、中心部は均等かつ徐々に変化するものであり、逆に周辺部はより急激に変化するものです。左右への水平移動はより問題となりがちであり、その理由は水平方向に横移動することが普通はないためであり、見る側からすれば、シーンのカメラがパンするときに、一つのオブジェクトから別のオブジェクトへと焦点を変更する必要があるためです。一般的には、人間の動作と同様の力学を模倣すべきです。人が現実世界で移動できる程度には限界があり、設計をする際にこのことを考慮すべきです。階段(または急な坂)を上下に移動することも多くの人にとって不快となる場合があります。この感度はベクション(実際に移動することなく自己の動作を視覚的に認識すること)に関連していて、これはシミュレータ酔いの主要な要因となります。不慣れな垂直方向の加速の感覚に加えて、同じ方向に進んでいる際に階段の目立った端の部分が画面のディスプレイの大部分を占めるようになります。通常ユーザはこのような場面を見ることがなく、歩いているときにテクスチャ付の壁あるいは床を直接みるといったことは稀な状況です。開発する際に坂や階段の使用は控えめにすることを推奨します。
同様に注意を払うべきなのは、ベクションを強く生じる他の映像であり、例えばエレベータシャフトを上に移動する際にユーザの周りの縞模様(ライトまたはテクスチャによる)が存在する場面です。これのガイドラインが関連して影響を受ける場合があることを開発者として意識すべきです。例えば水平方向や後方への移動を操作方法から外すことは理論上は理想的におもえるかもしれませんが、そうすることで、同様の位置の変更をするためにユーザはより多くの動作をしないといけなくなります(すなわち、回転して前を向き、さらに回転する、など)。ユーザ体験に影響するだけでなく、不自然な動作(障害物をよけるための複雑な操作)はより大きなシミュレータ酔いにつながるかもしれず、まだ別の効果的な選択肢として一見ユーザから操作できる自由度を奪うかもしれない方法がまだ酔わないかもしれません。これは様々なコンテンツや状況にいおて推奨事項を盲目的に適用することが出来ないようなケースのひとつ(4なのです。慎重な検討、ユーザテスト、そして繰り返しの設計をすることがユーザ体験および快適さのの最適化にとって決定的に重要なのです。
2
So, R.H.Y., Lo, W.T., & Ho, A.T.K. (2001). Effects of navigation speed on motion sickness caused by an immersive
virtual environment. Human Factors, 43 (3), 452-461
3
Hettinger, L.J., Berbaum, K.S., Kennedy, R.S., Dunlap, W.P., & Nolan, M.D. (1990). Vection and simulator
sickness. Military Psychology, 2(3), 171-181.
4
Stanney, K.M. & Hash, P. (1998). Locus of user-initiated control in virtual environments: Influences on
cybersickness. Presence, 7(5), 447-459.
付録 F - トラッキング
- Oculus Rift のセンサーはユーザのYaw, ピッチおよびロールに関する情報を収集します。ポジショントラッキングは将来的に利用可能となります。
- カメラ動作についてはSDKデモに含まれる「ヘッドモデル」のコードを実装して下さい
- エンジンパイプラインの全体を最適化してラグおよびレイテンシを最適化して下さい
- さらにレイテンシを削減するには、SDKデモに含まれるOculus VRのプレディクティブ トラッキングのコードを実装して下さい。
- もしレイテンシが完全に避けられない場合、レイテンシが変動するよりも固定で整合性とれたものを選択すべきです
回転方向のトラッキング
Oculus Rift ハードウェアにはジャイロスコープ、加速度計、磁力センサーが含まれます。これらのセンサーからの情報を組み合わせるのにセンサー統合と呼ばれるプロセスを通して、現実世界におけるユーザの頭の回転方向を判定し、ユーザのバーチャル世界での視界をリアルタイム同期します。これらのセンサーはYaw, ピッチおよびロールに関する動きを正確にトラッキングおよび描画するのに必要な情報をします。われわれは頭の動作に対するセンサー情報を正確にカメラの動作に変換するために役に立つ頭部や首部のモデルを発見しました。このモデルを略してヘッドモデルと呼びますが、頭を三方向のどちらの向きに動かした場合もおおよそ首の根っこの部分、すなわち声帯に近いところを軸にしてピボットするという事実を根拠にしています。つまり頭部の回転は視界の変換が生じ、運動立体視と呼ばれる立体感の生成と快適さを両立する強力なデプスキューが生成されること意味します。
ポジション トラッキング
現在 DK1 バージョンの Oculus Rift はユーザの向き(頭の回転方向)をトラッキングしますが、位置はトラッキングしません。3次元空間のオブジェクトは自由度が6次元ありますが(位置のx, y, z および回転のx, y, z)、ポーズを完全に定義するためには向きおよび位置の両方が情報として必要です。Oculus Rift がポジション トラッキングをサポートするための追加のハードウェアなしには、ユーザはポジションデータをマウスまたはゲームパッドを通じて位置データを調整するにとどまります。 (5 これにより自然にユーザの行動で例えば街角を除き見るようなものを表現することが難しくなります。将来バージョンのOculus Riftはユーザのポジションを初期設定でトラッキングできるようになります。レイテンシ
レイテンシとは、ユーザの頭の動作が画面表示される画像に反映されるまでの時間(motion to photon)として定義します。センサーの反応、統合、レンダリング、画像転送、そして画面レスポンスまでを含みます。レイテンシを最小化することは没入感のあり快適なVRにとって極めて重要であり、Oculus Rift が実現するレイテンシの低いヘッドトラッキングはまさに他のテクノロジーとの大きな差別化要因といえます。ゲームの中で motion to photon レイテンシを最小化するほど、ユーザにとって没入感のあり快適なVR体験が実現されます。
我々は、レイテンシを、ユーザーの頭部が動いてからと更新された画像がスクリーンに表示される(「motion-to-photon」)までの合計時間と定義します。 これには、センサーのレスポンス、 統合、 レンダリング、画像転送、そしてディスプレイのレスポンスの時間が含まれます。
レイテンシによる作用へのアプローチのひとつとして、プレディクティブ (予測)トラッキングという技術があります。motion to photon パイプラインを縮めるまでにはいたらないものの、現在パイプラインにある情報を使用して次にユーザがみるであろう場所を予測します。この際にセンサーの読み取りから画面へのレンダリングに伴う遅延を考慮するために、レンダリングするタイミングにユーザが見る場所を予測して、センサーが読み取りした場所を描画そのものでなく予測された場所を描画します。開発者には、SDKで提供されているプレディクティブ トラッキングのコードを実装することを推奨します。この仕組みの詳細については Steve LaVAlle のブログ記事である http://www.oculusvr.com/blog/the-latent-power-of-prediction/ を参照したうえで、関連するSDK ドキュメンテーションを確認下さい。
Oculus ではリアリティあるVRの実現には20ms 以下のレイテンシがボーダーラインになると考えています。ボーダーラインの値を超えるとユーザは没入感や快適さをより少なく感じるようになります。さらにレイテンシが 60 ms を超えると、頭の動作とバーチャル世界のモーションが同期していないように感じられ、不快感と方向感覚の喪失を感じるようになります。レイテンシが大きいことはシミュレータ酔いの主要な要因となると考えられています。いずれにしてもレイテンシはユーザの操作感や存在そのものにとって破壊的になりえるものです。理想論としては0 ms に近ければ近いほど良い、ということは疑う余地がありません。現実には理想どおりとはいかず、またレイテンシに関する過去の研究論文は矛盾するものもあることが分かってきています。大きなレイテンシが原因として不快感を生じることが報告された研究では許容誤差を含めたレイテンシを採用しがちです。反対にレイテンシが一貫して固定値を前提とした研究の場合、レイテンシが増加しても不快感が生じないとの報告(7もあります。これにより分かることとして、一貫していて予測できるラグについては慣れることができるものの、予測できないラグは常に不快感を伴う(8ということです。
5
Fisher, S., McGreevy, M., Humphries, J., & Robinett, W. (1986). Virtual environment display system. Proceedings 1986 ACM Workshop on Interactive 3D Graphics, 77-87.
6
Kolasinski, E.M. (1995). Simulator sickness in virtual environments (ARTI-TR-1027). Alexandria, VA: Army
Research Institute for the Behavioral and Social Sciences. Retrieved from:
http://www.dtic.mil/cgi-bin/GetTRDoc?AD=ADA295861
7
E.g., Uliano, K.C., Lambert, B.Y., Kennedy, R.S., & Sheppard, D.J. (1986). The effects of asynchronous visual delays on simulator flight performance and the development of simulator sickness symptomatology (AD-A180
196). Alexandria, VA: Army Research Institute for the Behavioral and Social Sciences. Retrieved from:
http://www.dtic.mil/cgi-bin/GetTRDoc?AD=ADA180196
8
Draper, M.H., Viire, E.S., Furness, T.A., Gawron, V.J. (2001). Effects of image scale and system time delay on simulator sickness with head-coupled virtual environments. Human Factors, 43(1), 129-146.
付録 G - シミュレータ酔い
- 「シミューレーター酔い」はシミュレートされた環境の利用によって発生する不快感のことを指します
- 視覚と体性感覚の相違が[酔いの]原因です
- シミュレーター酔いの要因[とその解決法]の一部を以下に示します:
- 加速: 加速度と加速の頻度を最小化してください
- [ユーザーが]制御できる度合い: ユーザーから制御を奪わないでください
- シミュレーター利用時間: ユーザーが休憩をとることを推奨してください
- [眼の]高さ: 視野すべてを地面で覆うことを避けてください
- 両眼視差: 「単眼モード」を提供してください
- 視野角: 狭い視野角は不快感を低減するかもしれません
- 歪み補正: Oculus VRの歪みシェーダーを利用してください
- ちらつき: 明滅する画像を表示しないでください
- 年齢: [ユーザーの]年齢とシミュレーター酔いとの関係は未だ不明です
- 経験: VRを経験することでシミュレーター酔しにくくなります (これは開発者がテスターとして最悪であることを意味します)
解説
シミュレーター酔いは視覚により引き起こされる移動酔いで、日常的な移動酔いとは決定的に異なります。多くの人々が知っている移動酔いは実際の移動(ボートの揺れによる船酔いなど)により引き起こされますが、シミュレーター酔いの主な不快感はシミュレートされた環境の視覚情報がユーザーが実際には移動していないにも関わらず、移動の感覚を引き起こすことにより発生します。どちらの場合にも、視覚と前庭感覚の齟齬が存在します。さらにシミュレータ酔いは、眼精疲労などバーチャル環境の利用に特有の症状も含みます。一部のユーザーが短時間のヘッドセット利用で酔いを感じるのに対し、まったく酔いを感じないユーザーも存在します。
シミュレータ酔いはユーザーと開発者双方にとって大きな問題です。ユーザーが極めて体験したいと思う非常に魅力的なコンテンツであっても、シミュレーター酔いの不快感を耐えたいと思うことはありません。そのため、シミュレーター酔いの原因を理解し、低減するための対策を講じることは極めて重要です。しかし残念ながら、シミュレーター酔い(に限らずすべての移動酔い)の真の原因は研究の途上にあります。シミュレーター酔いと多くの要因の間には複雑な因果関係があり、ある要因により不快感を発生させることはあっても[容易でも、のほうが読みやすいかも]、不快感をなくすためには全ての要因に対処する必要があります。
さらに事情を複雑にしているのがRift自体の新しさです。シミュレーター酔いの根本的な原因について、いくつかは把握できているものの、Riftに用いられている技術とユースケースについて直接示唆を与えてくれるような研究はまだ存在しません。
シミュレーター酔いは多くの症状を示しますが、主な特徴は方向感覚の喪失(運動失調を含む)や、吐き気(自己移動の錯覚から生じると考えられている)、そして眼球運動の不快感(例: 眼球の過度な移動による眼精疲労)です。Simulator sickness questionnaire (SSQ)と呼ばれるアンケートの項目にもこれらは含まれており、バーチャル環境におけるユーザーの症候学的な研究に用いられています(9。
シミュレーター酔いの理論
シミュレーター酔いとして最も広く認知されているのは、知覚の齟齬理論です。これは、視覚と身体(前庭と固有感覚)の運動シグナルのずれにより不快感を起こすものです。言い換えれば、視覚はユーザに自分が動いていることを伝えますが、体はユーザに自分はまだ座っていると伝えます。もちろんこれは、現状のVRの基本的な性質です。例えば、もし我々が歩行体験を表現したいとき、ユーザは実際には歩くことはないので、視覚的に表現しなければなりません。産業界では、モーションプラットフォームとルームランナーを通して適当な身体シグナルを与えるという試みがあります。しかし、2つのシグナル情報は混ざり、新しい問題になります。
シミュレータ酔いについて、異なった解説がなされた二つの競合する理論があります。
一つ目は、有害物摂取理論です。これは、有害物の摂取が前庭と視覚システム内の齟齬を引き起こす、という考え方です(10。この理論では、感覚齟齬による吐き気や嘔吐は、進化の中で適用したものとしています。なぜなら、毒物入りと思われるものの摂取を避けるため、体内の毒を除去しようとするからです。乗り物酔いの仕組みは、ユーザの身体が、上記のような感覚齟齬情報のより自分が毒に侵されていると信じ込み、その通りに反応してしまうこと、として説明されています。
二つ目は、姿勢不安定理論です。これは、対象者が通常時の姿勢制御方法を失敗させる齟齬情報を受け取ることにより、長時間にわたり姿勢制御をしなくなり、シミュレータ(あるいは乗り物)酔いを引き起こす、というものです。この理論はなぜ不安定さ(12 が酔いにつなががるのかはわからないとしていますが、乗り物やシミュレータ酔いがどんなときに起こり、 何が重大なのかを予測するために有効です。
この理論に基づき、ユーザの視覚、固有感覚、前庭、運動の仕組みに対応することで、シミュレータ酔いが減らすことになる、ということを付け加えておきます。
シミュレータ酔いの要因
シミュレータ酔いが起きる原因を探しだすのは困難です。 違うユーザは違う体験をしますし、 症状が示されるのに数分から数時間の時間がかかります。 VR デザイナーとして長い時間VRに浸り、仮想環境にさらされていると、脳は(VRの)効果に敏感でなくなっていきます。このため、VRに特化した開発者、ユーザは他のユーザよりも慣れていくものと予想します。この欠点は、コンテンツからユーザが不快感を経験するかどうかの判断において、VR初心者からコンテンツが不快感を生じるものかどうかフィードバックを得ないことは問題があります。
乗り物酔いの度合いは人により大きくバラツキがあり、シミュレータ酔いが起きやすい体験の強度に比例していきます。すなわち車両、遊具やその他の状況で乗り物酔いを起こしやすい人はOculus Riftを使用する際も慎重に使用すべきです(13 。このマニュアル全体にある注意事項に気をつけることも役に立つでしょう。
次のセクションはシミュレータ酔いの潜在的な要因とみなされる要素をリストアップしています。いくつかの要素は他のものよりも設計者が制御しにくいものですが、理解をすることで不快感を最小化することが出来ます。またここの情報の一部は他のセクションとも重複しますが、このセクションはシミュレータ酔いにおける役割についてより詳細な説明をしています。
動作の速度および加速
動作の速度はシミュレータ酔いになるまでの時間に比例しますが、必ずしもその度合いや増加度合いとは相関しません。より遅い動作(14 のほうが一般的により快適ですが、本当に気をつけるべきなのは加速であり、それは内耳の中の前庭器官が感じとる加速度です。前庭器官が感じないが視覚により感じられる加速度(直線であっても任意の角度方向へのものであっても)は感覚の間の矛盾を生じるため不快感につながることがあります。非公式な試験結果により、加速は長い時間かけて徐々に加速するより、瞬間的な加速ののほうが快適であることが示唆されています。不快感の増加度は加速の頻度、大きさ、時間の長さを変数とした関数です。どのような加速であっても、加速している間は感覚の間で衝突が発生するため、できるかぎり避けることがベストです。
ユーザによる自主的な制御
ユーザーからカメラの制御を奪ったり、ユーザーによって開始されていない方向にカメラを動かすと、シミュレータ酔いを引き起こすことがあります。いくつかの理論は、体感する動きを予期しコントロールする能力が乗り物酔いを防止する役割を果たすことを示唆しており、この原則はシミュレータ酔いにおいても同様であると思われます。ゆえに、ユーザーの制御をはずれた予期しないカメラの動き(あるいは動きの停止)は不快感をもたらします。もしユーザーに見せる重要なイベント(カットシーンや重大な環境イベント)がある場合は、ユーザーの注視点を勝手に動かすことは避けて、代わりに、ユーザー自身が自分で注視点を動かすように促すサインを提供することを試みてください。たとえば、非プレイヤーキャラクター(NPC)に目標の方向を向かせたり、効果音によってイベントの合図をしたり、目標の近くにタスクに関係のあるターゲット(敵やアイテムのような)を配置することができます。
繰り返しますが、ユーザーの動きとカメラの動きを切り離さないでください。
時間
バーチャル環境により長く留まるほど、よりシミュレータ酔いをしやすくなります。ユーザーには常に、ゲームを中断し、都合の良いときにそのポイントに復帰する自由があるべきです。適切なタイミングでの休憩の提案、たとえばセーブポイントやアクションの休止は、そうしなければあなたのゲームに没頭してしまうかもしれないユーザーへの良い合図になります。高度
ユーザーの高度、すなわちユーザーの視点の高さは、シミュレータ酔いにおける間接的な要因となり得ます。ユーザーの視点が低くなるほど、地平面の変化が高速になってユーザーの視界を占め、より激しい視覚の流れを引き起こします。これは不快感をもたらすことがあります。同じ理由で、階段を上ることも視野を覆う強烈な視覚の流れを引き起こし、不快なものとなります。両眼視差
両眼視差はRiftの根幹のひとつであり、奥行き感を引き出すものですが、代償がないわけではありません。立体視の画像は、水晶体が別の目標に遠近調節をする(フォーカスする)ときに奥行きの一点に集中することを強いるため、非立体視の画像(両目に同じ画像投影される)よりも目に負担がかかります。両方の目に同じ画像を表示すると、それらは常にディスプレイを見回すようにそれぞれ並行に向き、水晶体の焦点をコントロールする筋肉をリラックスさせ、焦点を遠方にはずさせます。Riftの光学系は遠方に表示された画像をシミュレートするため、この配置なら目は何の問題もありません。
一部の人々は立体視の画像を見ることに不快感を覚え、またいくつかの調査は、立体視のディスプレイが非立体視のディスプレイよりも酔いやすくなることを示唆しています。シミュレータ酔いを防ぐためにVRから立体視を取り除くこと16)は、貴重なものを台無しにしてしまうように思われるかもしれませんが、私たちは、すべてのアプリが、IPDをゼロに設定できる非立体視表示のモードをユーザーが選択オプションを持つことを推奨します。これによって、奥行きの手がかりとなる両眼視差と交差がなくなってしまいますが、非立体視の手がかり(動作視差、遮蔽、曲線の遠近感、空気遠近感、相対的な高さ、光と影、肌理勾配など)はなお多くの奥行きの情報をもたらします。さらに、Riftの広い視野角とユーザーの動きのトラッキングは依然として独自の没入体験を提供します。もしも、立体視を犠牲にすることが、一部のユーザーにとって目の疲れや酔いなしにプレイ時間を伸ばすことができることを意味するのだとすれば、私たちはそれが妥協に値すると信じます。非立体視の表示はなお感動的なVR体験を提供し、立体視の表示に劣らないユーザーパフォーマンスを生み出すでしょう。(17
視野
視野には2種類あります。ディスプレイに対する視野の面積(ディスプレイFOVまたはdFOVと呼ぶ)とグラフィックエンジンがディスプレイに描画する仮想環境の面積(カメラFOVまたはcFOVと呼ぶ)。広いディスプレイFOVは動きの知覚に関する2つの理由により、シミュレータ酔いを引き起こすと見られる。まず、動きの知覚は周辺でより敏感であり、特に周辺領域の光の移動と微妙なフリッカーの両方から影響を受けやすい。次に、広いディスプレイFOVは、その全体が使用されると、狭いディスプレイFOVに比べてより多くの入力を視覚系に与える。そのような多くの入力はユーザーに動いている間隔を与え、身体(平衡感覚と固有受容)の感覚と矛盾し始め、不快にさせる。ディスプレイFOVを減らすことで、シミュレータ酔いを軽減できるが、Riftの没入感と状況認識も軽減させる。(18より妥協を好む敏感なユーザーに対応するには、表示視野角の調整機能を提供するべきです。HUDの見えやすさやその他のスクリーン上の情報がこれらの口径に悪影響を及ぼされてはなりません。VRコンテンツを含むディスプレイ視野角よりもなお外側に表示することもできます。周辺視野においてベクトルを喚起するモーションを覆い隠す、コクピットや車両を設置することも似たような利益をもたらすかもしれません。しかし、理想的なコクピットの性質を求め、それが実際に助けになる度合いを測定する幅広いテストが必要です。頭の動きに対するバーチャル環境の不自然な動きは(たとえば、もし5度の頭の回転が、現実においては通常10度の回転が必要なバーチャル世界の回転をもたらすようであれば)、前庭動眼反射に一時的な不適応状態をもたらします。
あなたの目と前庭器官は、通常、物体を注視し続けるために、頭を動かす間にどれほど目を動かすべきかを定めるため協調して働きます。(19 もしバーチャル環境がこの反射運動に注視の維持を失敗させるようであれば、Riftの使用中および使用後に不快な再調整プロセスが引き起こされるでしょう。
レイテンシおよびラグ
レイテンシの影響に関する過去の研究の知見はさまざまです。多くの専門家は、シミュレータ酔いを低減するために遅延を最小限にすることを推奨しています。なぜなら、頭の動きと対応するディスプレイの更新の間のラグは、前庭動眼反射における感覚の衝突とエラーを引き起こすからです。特筆すべきは、ヘッドマウントディスプレイに関するいくつかの研究が、48ミリ秒のように短いか300ミリ秒のように長いかに関わらず、ひとつの固定時間のレイテンシが同じ度合いのシミュレータ酔いを生むことを示唆していることです。しかし、コクピットやドライビングシミュレータにおける変動し予期できないレイテンシはより不快感を生みます。開発者はシステムの遅延の多くの部分についてコントロールすることができませんが(例えばディスプレイの更新頻度やハードウェア遅延のように)、あなたのVR体験が、最小要求スペックを満たすシステムにおいて必ずラグやフレーム落ちをしないようにすることは重要です。多くのゲームは、たくさんの、あるいは複雑な要素を処理しレンダリングするとスローダウンを引き起こします。これは伝統的なビデオゲームにおいてはささいな苛立ちですが、VRのユーザーには強烈な不快感として影響することがあります。
歪み補正
Riftのレンズはディスプレイに表示される画像を歪めますが、これはSDKが提供するポストプロセスのステップによって補正されます。この補正がSDKのガイドラインと提供されているサンプルデモに従って正しく行われていることは極めて重要です。私たちの目は変異に極めて反応しやすく、不適切な歪みをかけてもかなり正しく見えますが、それでもなお方向感覚の喪失と不快感を覚えます。ですので、仔細に注意を払うことは最重要です。すべての歪み補正の数値は物理デバイスと一致する必要があります。それらはユーザーが調整できないようにしてください(SDKのデモは、特に意味があってのことではなく、ただシーンの裏で何が起きているか示すために数値を操作できるようになっています)。私たちは補正の設定をRiftの光学系にあわせて注意深く調整しており、補正の調整をさらに向上させるために継続的に作業しています。すべての開発者はRiftにコンテンツを正しく表示するためにオフィシャルのOculus VRの補正設定を使用するよう求められます。
ちらつき
ちらつきは通常CRTと有機ELディスプレイにおいて60Hzよりも低いリフレッシュレートで見られます。しかし、Rift DK1のディスプレイは60Hzの液晶ディスプレイであり、知覚可能なちらつきはありません。しかし、ちらつきがシミュレータ酔いに不愉快、疲れ、注意喪失といった重大な影響を及ぼすことは認識しておいてください。これは高い輝度レベルによって悪化し、あなたの周辺視野において最も強く認識されます。ちらつきは時間とともに意識的には認識されなくなりますが、それはなお頭痛と目の疲れを及ぼします。これは開発者としてのあなたの手からいくぶん離れることですが、完全を期してここに含めました。あなたの責任は意図的にちらつくコンテンツを制作することを控えることです。高いコントラスト、点滅(あるいは高速な変化)、とりわけ1~20Hzの範囲での刺激はてんかんを持っている人々に発作を引き起こし得ます。
年齢と酔いやすさ
年齢による乗り物酔いのしやすさがシミュレータ酔いのしやすさをどれほど予測できるかはまだ明らかになっていません。シミュレータ酔いの酔いやすさは、バーチャルなタスクを現実世界で経験したかどうかに正比例し、現実世界の再現であれば経験のある大人は経験のない子供よりも酔いやすいとされています。
DK1バージョンのOculus Riftの開発者のケーススタディでは、大人に対し、子供と幼児の明らかな回復力の大きさについて述べています。これは年齢による乗り物酔いのしやすさがシミュレータ酔いのしやすさに対応しない可能性を示唆しますが、他方で、これらのストーリーは代わりの解釈を説明できていません。たとえば、大人がRiftを容易にあきらめることや、子供が身体の不快感を自覚しにくいことなどです。
15歳から53歳までの男女1000人を母集団とするひとつの研究では、個々人の乗り物酔いのしやすさの体験は、バーチャル環境におけるシミュレータ酔いの強さと相関していましたが、年齢の影響は報告されていません。このことは、特定の個人の乗り物酔いの歴史が、おそらく年齢に関係なく、彼らがどれほどVRに適応できるかを予測する助けになり得ることを示唆しています。
経験による慣れ
バーチャル環境に慣れ親しむに従って、シミュレータ酔いをしにくくなります。アバターとはバーチャル世界におけるバーチャル世界におけるユーザの身体を視覚的に表現したものです。これまでの理論で学んできたとおり、典型的にはVRによる新たな体験をユーザが無意識に受け入れやすくなるメカニズムです。
例えば、脳は不快感を生じた視覚的な異常でも、解釈を再度試みるので、ユーザの動作はより安定して効果的となるのでベクションが下がります。良い面としては、開発者はヘビーユーザ向けに強力に視覚的な体験を設計することに対して遠慮すべきではない、ということです。逆に悪い面としては、大多数のユーザはOculus RiftおよびVRゲームに順応して体験を受け入れるするのに時間がかかるということです。
これにはいくつかの悪影響があります。ひとつめは、自ら開発したゲームを繰り返しテストしたい開発者は新しいユーザと比べてシミュレータ酔いに耐性が出来るため、体験をシミュレータ酔いのしやすさの異なるグループの人々に対して体験が快適であるかテストする必要があるのです。ふたつめは、初心者ユーザはいきなり強烈なゲーム体験をすべきではなく、最初はより穏やかでスローペースな作用から始めてゲームに入りこむクッションとすべきです。さらに良い方法としては、このガイドにある推奨事項を実装して、体験の強度を調節できるようにユーザ自身が制御できるようにすべきです。三つめは、強烈なゲーム体験を含むゲームはユーザにゲームコンテンツに対する警告を発することで、もっとも心の準備が出来ているときにアプローチしてもらえるようにすべきです。
9
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21
Ibid.
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付録 H - ユーザインタフェース
- StereoConfig ヘルパークラスにより2DコンテンツをVRへの移植をサポート
- ヘッドアップ ディスプレイ (HUD)
- HUD は3D 環境の一部にする
- 照準はターゲットに直接描画する。一定距離離れたところに固定して描画しない
- あらかじめHUDを環境の中に統合してしまうのは理想的です
- 近い位置にある武器およびツールは眼精疲労につながります。アバターの一部にして使用しないときは隠しましょう
- バーチャル環境にユーザを根付かせるためアバターを提供しましょう
2D 要素の移植
2Dデータ(メインメニュー、UI要素、その他)をクイックに移植するときはStereoConfigヘルパークラスにより投影行列が作成され、ユーザの0.8m正面の位置にバーチャル2Dのレイヤーが置かれます。これはUIをクイックに実装することに主眼が置かれていて、最終版の洗練されたインタフェース向けではありません。ヘッドアップディスプレイ (HUD)
HUD要素を立体視のイメージと統合するときに問題が発生します。それはHUDが3Dシーンの中の全てに対してオクルージョン(前に配置される)ためです。これは非立体視のゲームで問題になりません。それはユーザがHUDが実際に全ての前にあるものとして捉えるためです。残念ながら両眼視差(各々の目に投影される映像のわずかな差)をデプスキューとして加えることでシーンの要素がHUDよりもユーザ視点に近い位置に来ることで矛盾が生じることがあります。オクルージョンにもとづいてHUDはシーン要素よりも近いものとして認識され後ろにあるオブジェクトを隠しますが、それでも両眼視差によりHUDがオクルージョンをしているシーン要素より遠いと示されます。一般的な解決策はHUDをユーザに極めて近い位置におくことであり、20cmぐらい離した位置におくことです(別に推奨している50cmから2mの間に配置することが快適ということと矛盾しますが)。これによりデプスキューの矛盾が起きる頻度を減らしますが、今度はシーン自体が立体視の空間上でHUDよりも遥か後ろにあることになります。これによりユーザはHUDを確認するたびに、近いHUDとかなり遠くの空間とで焦点の位置を変える必要があることを意味します。この種の眼の輻輳および調節(水晶体の調整)は短時間で疲労や眼精疲労につながる場合があります。
図3: ヘルメット バイザーの中に表示された、かなりビジーなHUD
立体視のあるシーンにHUDを統合する方法論はいくつかあります。例えば衝突検知によりユーザの視点とHUDとの距離の間に何も入れないようにしてクリップングを全て防止します。しかし、これによっユーザが思ったよりオブジェクトに近づけなくなることで環境との作用が不自然に感じられるかもしれません。
さらに別の方法として、HUDをオーバーレイとして描画せずに、3D空間の中の2D表面に出来ます。次に、3Dシーンの中のオブジェクトがHUDより近くなったとき、オクルージョンを行ないます。これは自然にみえますが、HUDをユーザの視界から一時的に見えなくするリスクが発生します。
HUDの要素は2Dであっても、HUDそのものはシーン上の3Dオブジェクトであるべきです。私たちの経験からはもっとも効果的な手段はHUDを透明の半球上にレンダリングをして、あたかもヘルメットのバイザーの中に表示されているかのようにすることです(図3)。これによりHUDをシーンの中に受け入れられる方法で現実的に統合できます。しかしこのアプローチを適用するかどうかをその見た目やVRコンテンツのテーマの美学と合うかを評価しなければいけません。
同様に照準合わせも立体視VRにおいて新たなチャレンジとなります。照準の十字線そのものはシーンのオブジェクト上に直接描画すべきであり、これにより照準合わせの際、ユーザが何かに眼を合わせたときに焦点を当てるようにすべきです。もし十字線が視線が調節および輻輳されているのと別な奥行きに描画された場合、ぼやけてにじむように見えてしまいます。十字線そのものは固定の大きさだったとして距離により大きかったり小さかったり出来ますし、ユーザからみたときに一定の大きさとすることも出来ますし、これはデザイナーにとっての美学による判断になります(サイズが変わることでユーザにとってのデプスキューともなりますが)。
十字線カーソルをオブジェクトに直接描画する方法が出たことで、いくつかの開発者はさらにHUDを十字線と同じ平面上におくという手法を用いています。残念ながら、HUDの方が大きく映るために奥行きの急激な変化は不自然なものと感じられます。
一般論としてシーン上で視点からもっとも近いオブジェクトは画面の下の方にあり(オブジェクト、家具、人)、画面の上の方には比較的遠いオブジェクトとして天井や空があります。HUD要素は画面の上の方に配置するかもしれません。HUDの使用を限定的にすることを推奨します。HUDを使用する代わりにシーンそのものに情報デバイスを構築することを考えてください。HUDが必須の場面ではデプスキューの矛盾、クリッピング、VRコンテンツとの衝突などの問題について考える必要があります。
HUDを使用することにした場合、ユーザが調整できるオプションを準備して下さい。ユーザによってはHUDの距離についての強い要望があります。人によってはHUDとその他の環境との視点の切り替えが難しいため、数メートル離れた位置としてほしい場合もあります。それは例えゲーム世界の多くの要素の「後ろ」にHUDが来ることになるとしても、です。また他のユーザはHUDが環境を見る際に邪魔と感じられ、出来る限り近くに配置します。その距離は人によっては眼精疲労を引き起こすでしょう。誰にとっても理想的な距離というものは存在しない以上、HUDの距離を20cmから2mの間で対数の大きさで調整できる簡単な方法を準備しておくことを強く推奨します。
アバター
アバターとはバーチャル世界におけるユーザの身体の視覚的な表現です。典型的にはユーザの位置、動作、およびジェスチャーに反応します。ユーザは自身のバーチャルな身体を見ることが出来て他のユーザがどのように見えるか、またどう作用するかを観察できます。VRは一人称視点での体験が多いため、多くのVRアプリケーションはユーザの表現のほとんどを排除することとなり、結果的にユーザはバーチャル空間上で身体がない状態になります。
Figure 4: 画面の下に映っているユーザのアバター
透明なユーザを想定したゲームを開発しているのでないかぎり、ユーザには視覚的なアバターを提供すべきです。ユーザの身体はゴーストのような曖昧なものから、極めて現実に近い身体まで表現方法には幅があります。これによりユーザをバーチャル空間上に配置しやすくなります。自分の頭を見ることは出来ないので、アバターは頭を使用すべきでありません(当然鏡などの反射を除いて)。バーチャル世界での首はカメラのすぐ下に配置すべきです。
首はある一定のところまでしか曲げることが出来ないためアバターの身体は画像のかなり端の方にしか映りません(図4)。全ての武器やツールはアバターに統合し、ユーザが手に持っていることを確認できるようにすべきです。開発者がボディ トラッキングで入力デバイスを使用した場合ユーザの手や他の身体の部分をトラッキングしたうえでアバターを更新して、その際のレイテンシを出来る限り小さくすべきです。
武器や道具
FPSでは武器は画面の下の方に表示され、あたかもユーザが持っていて照準合わせをしているようにしています。位置関係からいうと、武器はシーン上の何よりも視点に近いことになります。典型的な非立体視のゲームにおいて、それは何ら問題がなく通常の距離にて間近のオブジェクトがシーン上に重ねあわせて表示されることは受け入れられます。しかし、これを立体視の実装とした場合、状況はもっと複雑になります。武器やツールのレンダリングをカメラの間近にすることで、武器とシーンの残り全体をみるうえでユーザは眼の輻輳を大きく変化させる必要があります。さらに武器が視点にあまりに近いために左右のビューが著しく異なるかもしれず、結果的にひとつの三次元ビューに統合することが難しくなるかもしれません。
もっとも快適だとわれわれが考えるアプローチは、すでに述べたようにカメラを頭はないが身体は完全にあるアバターの首の直ぐ上に配置することです。武器およびツールはユーザ アバターの一部としてレンダリングされます。武器を使用するときは持ち上げられますが、通常はビューに表示しません。
この他にも「チート」して武器およびツールをプレイヤーのビュー上でレンダリングする方法はありますが、特にそれを推薦しているわけではありません。ただ、もしかするとコンテンツによってはこの種のバリエーションが必要であったり、状況に合うような場合はあるかもしれません。ひとつの方法は2Dで武器をレンダリング、そのうえもしHUDがある場合はその奥に描画することです。すでに見てきた輻輳や映像の統合の問題と、武器を平らで不自然に見えることを天秤にかけて考える必要があります。
もうひとつの方法はマルチ リギングを用いることで、間近にあるオブジェクト(例としてコクピット、ヘルメット、銃)が主要な環境から切り離して独立した別のカメラを用いることです。この手法は視覚的な不具合、例えば手前にあるオブジェクトが奥にあるオブジェクトよりも立体的に遠くに見えてしまうなどのリスクが発生します。繰り返しの実験およびユーザテストにより、これら以外の方法を使ったコンテンツにとっての最適な解決策が判明するかもしれませんが、現時点でのわれわれの推奨は武器およびツールをユーザアバターのコンポーネントとして実装することです。
付録 I - ユーザ入力とナビゲーション
- 従来の入力方法でVRにとって理想的なものはありませんが、ゲームパッドが現状では最善の選択です。ここはイノベーションと研究が必要とされる分野です(Oculusでも行っています)。
- ユーザーはRift装着中に入力デバイスを見ることはできません。見ることなく操作できる、慣れたコントローラーを使用させてあげてください。
- Riftのセンサーを入力に活用してください(例: 頭を傾けて照準合わせをするなど)、しかし頭の動作とアバターの頭の動作との関係によって生じることのある不快感に注意してください。
- 移動はVRならではの新たな問題を作り出します。
- 切り替え可能な「戦車モード」の提供を考慮してください。正面方向を今向いている方向にリセットする手段を提供してください。
マウス・キーボード・ゲームパッド
ユーザーがOculus Riftを装着すると、外界に対して実質的に盲目になるということを把握しておくことは重要です。ユーザーはキーボード、マウス、ゲームパッド、モニターのいずれも見ることができません。一旦VRの中に入ると、これらのデバイスの操作は触覚だけを頼りに行うことになります。もちろん、これはそれほど珍しい状況ではありません。しかし、入力デバイスを触覚だけで操作することに慣れているとはいえ、手を最初に置くときや、位置を直すときには視覚を使うものです(キーボード上で手の位置を変えるときなど)。これはインタラクションデザインにおいて、重要な帰結をもたらします。例えば、ユーザーはキーの位置やホームポジションを触覚だけで探す必要があるため、キーボード入力は面倒なものになるでしょう。マウスは多少は使いやすいとはいえ、ユーザーがヘッドセットを装着する前にマウスの位置を覚えておく必要があります。究極的な解とはいえないものの、ゲームパッドは現状もっとも評価されている入力手段です。ユーザーは両手でゲームパッドを握ることができ、デスク上の複雑なデバイスを使う上での人間工学的な配慮とは無縁です。ゲームパッドがシンプルであればあるほど、視覚的な頼り無しに利用することは快適となるでしょう。
VRとRiftの制約を考慮すると、ゲームパッドはキーボードやマウスに比べて好ましいと言えるでしょう。しかし、いずれの入力手段もVRにとって理想的ではなく、Oculus VRでは幅広いVRコンテンツに使用可能な革新的で直感的なインターフェースを研究中です。
新たな入力手段
マウスやコントローラーで照準合わをする代わりに、いくつかのVRゲームでは頭の向きと連動したカメラで狙うことができます。例えば、ユーザーが向いている方向の中心に追従する照準やカーソルで照準合わせをし、その他の入力デバイスで他のコントロールをするなどの例があります。そのような入力手段の有効性や快適性についてはさらなる調査が必要ですが、初期のVRゲームのいくつかでは既に採用されています。Riftのセンサーは向きと加速度(それに加えて将来的には位置)の情報は主に仮想カメラの向きと位置を合わせるために使われていますが、これらの測定値は独創的な入力手段に使うこともできます。たとえば注視や頭部・胴体による移動などがあり、具体的には、ユーザーが移動したい方向を向いて前傾姿勢を取るとその方向に動くなどです。
これは大胆な開発者への忠告ですが、新たな入力手段を用いたコンテンツを公開する前に重点的なユーザーテストを行ってください。意図せずして吐き気・ストレスを生じさせてしまうプロトタイプをOculus VRでも数々目にしています。頭を傾ける動作は特に注意が必要で、仮想的な回転中に頭の回転軸が身体の回転軸からずれることで「擬似コリオリ効果」が発生し、移動酔いが発生することが被験者実験の結果として報告されています(24。とはいえ、新たな入力手段は、正しく用いれば従来のデバイスより快適で直感的となるポテンシャルも秘めています。
ナビゲーション
VR内で移動するとき、ほとんどのユーザーは実際に立って歩くのではなく、何らかの入力によって移動するでしょう。よくあるのは、今時のFPSゲームのゲームパッド・キーボード・マウスなどによる入力手段をそのまま使うことです。残念なことに、このような従来型の移動方法は、スクリーンのある環境では効果的であるものの、没入感の高いVRでは不快感を生じる場合があります。前述したように、サイドステップや後ろ歩きなどによるシミュレーター酔いは、コンソールやPCゲームでは発生しないのですが、VRでは発生するのです。OculusではVR内での新しいナビゲーション手法を開発中です。移動中のユーザーの快適性を向上させるため、新たな移動方法を検討されています。従来では、「前進」ボタンを押すと通常はカメラが向いている方向に進みます。しかし、移動は従来の入力デバイスで行い、向きの変更は頭で行う「戦車モード」や「戦車ビュー」を使うナビゲーションを使用しても良いかもしれません。例えば、ユーザーが「前進」だけを押し続けている間は直線状に進み、頭を向けることで進行方向を変えずに周囲を見渡すことができる方法もあります。店の中で棚と棚の間を歩いているときに、脚では通路く真っ直ぐに歩いているものの、それとは独立して、頭は横から横へと見回しているという状況と比べてみてください。
この新しい移動方法には利点もありますが欠点もあります。Oculus社の従業員の数名(とおそらくこの手法を実装した開発者)はこの手法は従来のナビゲーション方法より快適と感じたようです。しかし、不快感やユーザー体験におけるあらたな問題も発生します。特に、ユーザーが向いている方向に進みたいのに、椅子ごと身体と頭が回転してしまったせいで、違う方向に進んでしまう場合などです。そのため、この手法を用いる開発者は常に、ユーザーがアナログスティックの押し込みやボタンなどで簡単に「戦車」の向きをリセットできるようにしておくべきです。様々な使用例における「戦車モード」の快適性と有効性が完全に解明されるにはさらなる研究が必要ですが、開発者は従来型の移動方法の他に、ユーザーが選択可能なオプションとしてこのような手法を取り入れることは十分考えられます。
現状、開発者がこのガイドで述べられているような問題について考慮した上でなら、従来型の移動方法が無難で多くのユーザーにとって利用しやすい手法と言えます。コンテンツによっては、仮想空間内でユーザーを移動させる新しい方法も使用可能です。たとえば、ユーザーが新たなステージに進むたびに、異なる位置から始まるなどです。いくつかのゲームでは、暗闇にフェードアウトする表現が睡眠状態や意識の喪失を表すのに使われていて、ストーリーの進行に沿って別の時点で目覚めさせられます。これらの慣習は特に問題なくVRでも用いることができます。しかし、ユーザーを仮想空間で移動させる(ユーザーを30°右に回転させ、マップの別の位置に移すなど)のは戸惑いを与えるでしょうし、移動時にカメラの制御をユーザーから奪ってしまうと、それは不快なものとなるでしょう。
24
Dichgans, J. & Brandt, T. (1973). Optokinetic motion sickness and pseudo-coriolis effects induced by moving visual stimuli. Acta Oto-laryngologica, 76, 339-348.
付録J - コンテンツ作成
- ユーザはいつでも、どの方向でもみられるようにすべきです。それにより没入感が維持されることに留意してください
- ディテールにこだわったアートのアセットを作成すると、ピクセル密度による制約があることに注意して下さい。
- ローポリゴンでの「チート」(例えばバンプマップや平面オブジェクト)はステレオ3D、特に視点から間近の場合は明らかにチートであることを見抜かれます。
- 音声は没入感にとって決定的に重要です。音風景は慎重に設計を行いユーザが使用する出力デバイスを考慮に入れて下さい
- Oculusのツールはメートル単位で動作します。Unity上での1単位は1メートルとして扱って下さい
- 理想的な体験のために、Oculus調整ツールのSettingsを使用してバーチャル環境におけるユーザの大きさを設定して下さい(任意)
新たな需要
バーチャル世界の設計は要求の多いものです。デザイナーはユーザがどこをみるか直接制御することがより少ないものです。ユーザはいつでも、どの方向でも見回すことが出来るためです。すでに述べたように頭の動作に対するカメラの反応を制限することはVRにおいて非常に不快感を生じさせるかもしれません。物語の都合または技術的な目的でカメラの動作範囲を制限することは不可能です。任意のタイミングで見回すことでユーザの没入感を損なわないように注意して下さい。例えば環境におけるレンダリング上のチートを見抜かれる、といった場合です。ユーザの周囲のバーチャル世界は常に完全かつ継続的であるべきです。出来るかぎり多くの動的システム、すなわち物理挙動、ライティング、天候、および崩壊を取り入れて下さい。立体視の効果は比較的近いオブジェクトでベストだということを理解して下さい。遠くに離れるほど、効果は平坦化されます。
アート アセット
将来のOculusRiftは解像度が改良されるでしょうが、ピクセル密度がOculusRiftに合うようになるまでに、まだ時間がかかります。今のOculusRiftは解像度が限られていますが、あなたがこの制限事項を気に留めている限り、完全な没入感を作りだすことができます。
オブジェクトの大きさが単列のピクセルサイズに近づくほど、細かいレンダリングが問題になっていきます。オブジェクトがまばらに表示されるほど、OculusRiftで見たときの明瞭さは悪くなります。テキストの文字や、小さくまばらなオブジェクトはピクセル間に埋もれてしまう傾向があります。同様に、フェンスやパターンのようにまばらかつ繰り返される場合、オブジェクトの表示に問題が生じます。
あなたの世界を作るとき、デザインプロセスに沿って作られた全てのステージにおいて、OculusRift上の視界を確認してください。
極端に小さなオブジェクトの配置は避けてください。可能であれば、まばらなオブジェクト表示も避けてください。 これらの提言は、テクスチャを配置する場合にも同様に当てはまります。
ゲームのようなリアルタイム3Dアプリケーションのほとんどは、許容できるフレームレートで複雑なシーンを表示しています。シーン表示を効果的に表現できるエフェクトによっては、明らかに偽の立体視3Dに見えてしまうものもあります。ビルボードスプライトは、特にそれらがくっきりとした表示のとき(例:雷や炎)、明らかに平坦に見えてしまいます。ビルボードはぼんやりしたもの、例えば煙、霧、遠くの背景などにのみ使うようにしてください。バンプマップ、視差マップ、実体形状が組合わさらない限り、VRにおいては効果的ではありません。
(この場合、視差マップが個々の仮想視点と一致しているかを確認してください)
現在のOculusRiftの限られた解像度では、非VRゲームで使われる多くのトリックはまだ使わないようにしてください。しかし、解像度が改善されれば、それらのトリックがユーザーに受け入れられるのは言うまでもないことです。
音声設計
音響は、バーチャル世界の体現における二つの原理様式の一つです。高品質の音響は、低品質な資格体験を補完します。また、音響リソースはたいていの場合、視覚のリソースよりもプロセッサの処理能力を必要としません。音響を重視するのは役に立つ開発戦略です。音響は、まず間違いなく視覚と同様に重要です。周囲から聴くことは、バーチャル世界への知覚を継続的にサポートします。バーチャル環境を信じさせるために、ユーザは現時点で視野外にあるバーチャル世界の一部が存在していると確信する必要があります。このバーチャル世界がまだここにある、という協力な信号として、音響を使うことができます。
OculusRiftでの体験を補完する一つの自然な方法は、ヘッドフォンの着用です。多くのユーザはゲームプレイ中にヘッドフォンを好んで着けます。VRの世界では、ヘッドフォンやスピーカは空間的な音響において異なった要望があります。バーチャルマイクは、バーチャル世界でのカメラがユーザの目として振る舞うことと同様に、ユーザの耳として振る舞う必要があります。音響デザインは、ユーザがヘッドフォンを着けており、出力ソースはユーザの頭の動きと一緒に動く耳の動きに追随していること、を考慮すべきです。このことはスピーカシステムには当てはまりません。
周辺の音声を拾うバーチャル”マイク”は、いつもユーザの位置に追随するべきです。しかし、この行動は、ヘッドフォンやスピーカとは異なっています。ユーザがヘッドフォンを着けるとき、バーチャルマイクはユーザの頭の向きに対して回転する必要があります。しかし、スピーカを使うとき、頭の動きはマイクの方向に対して影響を与えません。あなたの作るコンテンツは、スピーカかヘッドフォンを選択できるオプションを付けるなどして、ヘッドフォンとスピーカの両方をサポートする必要があります。
音響デザインをさらに発展させると 、頭部伝達関数(HRTF)の使用により、真の3D空間を作ることができます。多くのサウンドライブラリはすでにHTRFsをサポートしています(Miles、DirectSound、OpenALを含みます)。したがって開発者もこれらを使うべきです。
ユーザと環境のスケール
スケールはVRにおける重要な側面です。あたかも実世界のように、ユーザーは物体のサイズを自身の身体との関係から直感的に知覚します。そして、簡単に物体(あるいは世界全体)について、誤ったスケールが設定されていると見わけてしまいます。大半のゲームにおいて、皆は間違いなく全て正しくスケールするでしょう。Oculus Riftのソフトウェアにおいては、内部カメラの距離や視野、大凡の測定される単位はメートルなので、メートルから利用する基準の単位にあわせてください。
VRにおいて、現実の物理的なサイズ尺度から自由になっているものが3つあります。地面からのユーザーの眼の高さ、頭の動きに反応したカメラの動きのサイズ、そして瞳孔間の距離(IPD)です。
これらはSDKやユーザー情報から提供されますが、これらはアプリ上で様々な用途に用いられます。
見当識障害(酔い)を防ぎ、快適性と没入感が最大になる現実世界の寸法で設定してありますので、デフォルトでは操作しないことを推奨します。
多くのゲームにおいて、ユーザの憑依するアバターはナラティブ性やプレイのために特定の高さが必要になることがあります。例えば、ユーザの視界から周囲にある特定の箇所を隠したい場合、あるいは周囲から得られる要素をきっちり表示するために特定の高さを求める場合。ユーザを自身とは一致しない仮想空間上の高さに固定することでは問題は発生しないはずです(ベクションの強度が強まります)。地面にめり込んで視界がふさがれるようなことがない限り。しかしながら、快適さのためにユーザのIPDと頭の動きは失わせないようにすべきでしょう。
スケーリングにより世界を拡大縮小する形で"不思議の国のアリス"的なエフェクトを実現することがあるかもしれません。スケールは相対的なので、実際には2つの巨大/縮小感を実現する方法があります。世界をスケールするか、ユーザーをスケールするか(高さとICD(intercanthal distanceにより)です。ここでは、仮想空間上でユーザ側をスケールすることによってシミュレータ酔いの可能性が高まるのを避けるために、ユーザの周囲の世界をスケールする方を推しておきます。
もしUnityで作業をしている場合、現実の次元に最大限近づけるためにメートルのような単位を一つだけ扱ってください。もし現実のVR体験を開発する場合には設定することになるでしょう。もしファンタジーや代替現実によるVR体験を開発する場合には、別のスケール感覚を考えるかもしれません。リアルを追及するかどうかはさておき、アートの効果を意図したものに到達させるため、アートアセット上で早めにRiftに入って試してみることを推奨します。
警告として、人々の知覚は仮想空間上の距離を甘く見がちで、完全に測定された空間上であったとしてもなお時々違和感を覚える、ということについての研究文献を書きとめておきます。(25(26
25
Messing, R. & Durgin, F.H. (2005). Distance perception and the visual horizon in head-mounted displays. ACM Transcriptions on Applied Perception, 2(3), 234-250.
26
Willemsen, P., Colton, M. B., Creem-Regehr, S. H., & Thompson, W. B. (2004, August). The effects of head-mounted display mechanics on distance judgments in virtual environments. In Proceedings of the 1st Symposium on Applied Perception in Graphics and Visualization (pp. 35-38). ACM.
付録 K - (今のところの)効果的なVRについての考察
- Riftによって、ユーザーの視覚的現実をかつて無いほど制御することができます。これは開発者にとって未踏の課題です。
「効果的なVRをどうすれば実現できるか?」とは、本が数冊書けるほど多くの文脈を持つ広範な問いです。VRはほとんど未開拓のメディアで、アーティストや開発者により最大限のポテンシャルを発揮させられるのを待つ状態です。
手始めに、VRは空間、大きさ、没入、インタラクションとナビゲーションについての新しい考え方を必要とするでしょう。例えば、スクリーンのあるメディアは、直角や直進運動に重きを置いており、スクリーンの縁は常に存在します。これが撮影監督のいうところの、ショットの「フレーム」に繋がります。しかしVRにはスクリーンも、物理的な境界もなく、よいカメラ アングルも存在しません。そして、ドアや窓のようなユーザーが覗くことのできる実世界の要素を使わない限り、「フレーム」は存在しないのです。
全てのメディアのうち、VRはおそらくもっとも実世界での体験に近いものでしょう。実世界と同じように、VRはユーザーを完全に没入的な環境で包み込みます。これによって、他のメディアでは不可能な体験を作り出すことができます。我々は、平らなスクリーンの前にあまりにも長く座りすぎました。ユーザーの上、下、そして背後の空間を活用することはこれまで以上に楽しくもあり、そして望まれていることなのです。
VRは物理的な実世界での体験を模倣しようとするメディアであるために、ユーザーはVR内でも外の現実と同じように振る舞えることを期待します。これは利点でもあり欠点でもあります。開発者はユーザーが慣れ親しんだ実世界の事象を使って誘導を行えますが、同時に、ユーザーの期待は現在可能なVR体験を上回ってしまうこともあるのです。没入感、操作性、そして体験のバランスをとることは、VRに向けたデザインの多くの課題の一つに過ぎません。このガイドはVR体験のデザインに必須の、最も基礎的な事項を提供するために書かれています。VRが真に輝く体験を、そして世界を作り出すことはあなたにかかっています。我々をそれを見るのを待ちきれません!
Rift向けのVRコンテンツ作成についての最新情報や議論については、ぜひ http://developer.oculusvr.com/best-practices をご覧ください。
付録 L - 健康と安全に関する注意
負傷、疾病、経済的損失のリスクを低減するため、ヘッドセットを利用する前に以下の警告をよく読んでください。以下の場合直ちに使用を中断してください
ヘッドセットの利用者が以下の症状のいずれかを示す場合: 痙攣、発作、眼及び筋肉の攣縮、非随意運動、目眩、方向感覚の喪失、視覚異常、意識喪失、吐気、立ち眩み、シミュレーター酔い(移動酔いに類似)、頭部もしくは眼の不快感や痛み一般的な指示と注意
以下の指示にには常に従い、ヘッドセットの利用による負傷もしくは疾病のリスクを低減してください。- ヘッドセットはVR利用開始の前に、各ユーザーについてキャリブレーションを行ってください。キャリブレーションを行わない場合、不快感とシミュレーション酔いの可能性が増加します。
- ヘッドセットに付属する、セットアップ及び使用に関する全ての指示に従ってください。
- 妊婦、老人、心不全もしくは他の重要な疾患を持つユーザーは、ヘッドセット利用前に医師に相談してください。
- 重体な症状が発生した場合、またはヘッドセット利用中止後も症状が続く場合、医師に相談してください。
- 全ての症状が回復するまで、運転、機械の操作、またはそれに類似する活動に従事しないでください。
- ヘッドセットに身体を適応させるため、一回あたり数分の利用から始めてください。
- 休息を必要と感じなくても、毎時間10分から15分の休憩をとってください。体験には個人差があるため、不快感を感じる場合はより長時間の休憩をとってください。
- ヘッドセットの過度な利用は避けてください。
- ヘッドセット利用中に、眼の疲れや痛み、目眩や吐気を感じた場合、利用を中止し休息をとってください。
- ヘッドセットは可能な限り座った状態で利用してください。
- 疲れや眠気を感じている場合、また酒類や薬品の影響下にある場合、ヘッドセットを利用しないでください。
発作
一部の人々(約4000人に1人の割合)において、光の明滅やパターンによって深刻な目眩、痙攣、癲癇の発作、意識の消失が引き起こされる場合があり、TVの視聴、ゲームプレイ、VR体験などの途中にこれらの発作が発生する可能性があります。これらの症状は過去に発作、意識消失、癲癇などの経験がなくとも発生する場合があります。過去にこれらの経験があるユーザーはヘッドセットの利用前に医師に相談してください。シミュレータ酔い、眼精疲労、その他の反応
ヘッドセット向けに提供されるコンテンツは没入的なVR体験を発生させるため、ユーザーがその体験により以下の症状を発生させる可能性があります: シミュレータ酔い(移動容易に類似)、感覚的な余韻、方向感覚の喪失、姿勢維持機能の低下、眼精疲労、目眩、吐気、離人(自分の行動を外から眺めているような感覚)、疎隔(実世界に現実性を感じなくなる)。これらの反応はヘッドセットの短時間あるいは長時間の利用により発生する可能性があります。ユーザー、もしくはユーザーの家族にこれらの症状の経験がある場合、ヘッドセット利用前に医師に相談してください。子供による利用
- 本製品は7歳未満の児童によって利用されるべきではありません。7歳未満の児童が3D画像を見ることで、永続的な視覚障害が引き起こされる可能性があります。
- 保護者は7歳以上の子供がヘッドセットを利用する際に上記の症状に注意してください。
- 保護者は7歳以上の子供のヘッドセット利用時間を管理してください。
周囲環境の把握
ヘッドセット向けのコンテンツは没入的なVR体験を発生させるため、周囲の実際の環境を把握することが困難になります。ヘッドセット利用時には常に周囲の環境に注意してください。できるだけ座った状態で利用し、人が近くにいないこと、階段、バルコニー、窓、家具、が無いことを確認してください。また、ヘッドセット利用中もしくは利用直後に、衝突する、躓く、横転させる可能性のある物体が周囲に無いことを確認し、ヘッドセット利用中は鋭利な物体やその他の危険な物体を扱わないでください。無線干渉
- ヘッドセットはペースメーカーを含む周辺の電子機器に影響を与える可能性のある電磁波を発生させる場合があります。
- 無線機能を利用する場合、ヘッドセットをペースメーカーの20cm以内で使用しないでください。
- ペースメーカーやその他の医療インプラントを所持している場合、ヘッドセットの無線機能を利用する前に、医師もしくは医療機器の製造者へ問い合わせてください。
- 病院、空港、航空機内などでは無線機器の利用に関する全ての規制に従ってください。これらの場所でのヘッドセットの稼働は、機器への干渉や故障を引き起こし、人的もしくは経済的な損失を発生させる可能性があります。
感電
- 感電のリスクを低減するため以下の指示に従ってください。
- ヘッドセットを水中や湿気のある場所で使用しないでください。
- ヘッドセットを掃除する前に、電源を抜き、乾いた布のみを使用してください。
- ヘッドセットを炎やその他の熱源に近づけないでください。
- ヘッドセットを改造、あるいは分解しないでください。
Copyright © 2014 Oculus VR, Inc.
本資料はドラフトであり法律および医学の専門家による監修待ちです。
翻訳とても感謝です。
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