技術的なことは「Oculus Rift」など研究することで進む。だけど、バーチャルリアリティの目指すべき世界はどんなものだろうか?
カナダの方の意見が「人も動物である」という視点からなかなかに興味深い考察をしているので、是非紹介したい!!
原文
Robert McGregor - Development Blog
http://id-r-mcgregor.blogspot.ca/2014/02/one-of-greatest-gifts-of-vr-will-be-in.html
2014/2/20
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バーチャルリアリティによる最大の恩恵は「空間を創る」こと
ウェブリングって覚えてますか? Google が普及する前、サーチエンジンが未熟だった黎明期はウェブサイト同士で同じテーマのウェブサイトをつなぎ合わせることでリンクのシステムを構築していました。例えばフラクタル図形の刻まれた中世の鎧のウェブサイトを見ていて、同じトピックのウェブサイトへ移動したい場合はページの下のウェブリングを使って同じトピックを扱った次のサイトへ移動できました。ウェブサイトの製作者が互いに手を伸ばし合って互いのサイトの間のドアを構築していたんですね。
"バーチャルリアリティを席巻するのは意外にも「サンダル」"
ウェブリングは Google の登場によりその使命を終えました。Google は玄関のところにサンダルの代わりに小型ジェット機を置いているようなものです。Google 検索で目的地にそのまま飛べるので、その中間をブラリと旅するような必要はなくなったんです。
バーチャルリアリティを席巻するのは意外にも「サンダル」の方だと思う。
今後はブラリと旅していくようになるんじゃないかな。(Google は小型ジェット機でなくなって、同様に歩調をあわせて急速に進化していく、と。)
"今のウェブには「地平線」がない"
バーチャルリアリティによる最大の恩恵は「空間を創る」ことだと思う。
探しているものと別のものも同時に発見できるのがバーチャルリアリティの良さでしょう。
今のウェブには「地平線」がないと思う。木をみて森を見ず、のとおりに木の目の前にいて周りがまったく見えてない、みたいな。サイトの間を移動するときに周囲の状況が完全に分からないんですよね。今のウェブ上を旅するとき、滅多に情報が得られないこととして、次のようなことがあります:
- 今、この瞬間にこのコンテンツを見ているのは誰?
- 今、このウェブサイトの中のどこを皆はみているの?
- このサイトを見終わったら次はどこへ行くの?そもそもどこから来たの?
- 周囲はどういう人たち?
- 知っている人はいる?
- 今日は誰もいないのは何で?どこにいるの?
こういう質問に応えようとしているウェブサイトはインターネット上でもっとも成功をしているグループに属します。つまり、私たちは実際には「社会性を持った動物」であり、群れの仲間と面と向かっている時間が長いのです。
今のインターネットはもしかすると人と人を結びつけることよりも遠ざけてきたかもしれなくて、その主張はあながち間違いではないのかもしれません。
インターネットで膨大な時間を消費しながら、一日の多くの時間をそこで過ごして、その時間の比重はどんどん膨らむばかりです。今われわれは二次元空間のなかでメモなどで互いにやりとりをして、たまに現実空間でやりとりをしています。一人芝居のなかで動画を共有して自分自身を表現する。現実世界での人の触れ合いに比べるとショボい代替案ですよね(誤解なきようにいうと、やりとりがないよりは良いのですが)。
"「永続性」、「経路」、「距離感」、そして「人」について"
次世代の人に今の二次元空間の説明がどうなっているかを説明しても理解してもらえません。10 才の子供にインターネット登場前の二次元空間の話をするぐらい大変なことです。全く通じないだろうし、私たち自身もそのうち忘れるようになるはずです。
次世代のバーチャルリアリティの屋台骨となるキーワードが四つあり、この技術の価値を定義するのにふさわしいとおもう。全て英語では P で始まる、四つの言葉です:
「永続性(Persistence)」、「経路(Path)」、「距離感(Proximity)」、そして「人(People)」です。
「永続性」は人間にとって重要な意味があって、今住んでいる世界で自然なこととして捉えています。自分を探検家であると捉えるのはごく一部であって、世界のごく一部で居場所を見つけてそこで死ぬまで暮らしていく、ごく普通の生き物なのです。
自分の家があって、仕事があって、行き着けの場所を持っている。こういう場所で時間を過ごすか、それらの間を行き来する、という時間が多いんです。週末ごとに新しいレストランに行ったり、仕事場に違う経路で行くことは出来るけど、そうじゃないことの方が多い。動物的な本能が知らぬところで備わっていて、捕食されないか、予想外のことが起きないか、食べ物は大丈夫か、と危険信号が鳴って同じところに行きたがるのです。
安全な住みかへのこだわり、ですね。それが進むと人は「永続性」を欲して、さらに世界に一貫性を求めるのです。
もしドアの側の鍵入れの中に鍵を置いたとして、また戻ったときはそこにあるだろうと期待します。もしある日に突然、家全体がなくなったり、違うものになったりしたらひどくガッカリします。
要するに、人間は仮想空間でも一貫性を求めて、好みの場所が見つかったらそこにまた戻ろうとします。
バーチャルリアリティが提供する空間やサービスが「永続性」を持つことで価値が認められて、私たちの脳そのものが安心するんです。仮想空間でのの資産は、いつか現実空間よりも上回るものになる。
最初は少し疑問もあったが、今はハッキリ断言できる。
まだ作られてもいない、これらの場所につながりを感じるようになり、それらは私たちにとって重要なものとなって、仮想空間と実世界での感情や記憶が強く結びつくようになります。
"仮想世界が破綻することで、一種の苦痛を脳が実際に感じる"
ここで Oculus Rift と存在感にかかわる興味深い事象に話を切り替えてみたい。バーチャルリアリティ技術の目標は現実世界で見たり聞いたりすること以上に重要だと感覚的に思い込ませることです。
バーチャルリアリティ体験の中で、その世界に没入しているという存在感を感じている最中に、ヘッドトラッキングを無効にすると、錯覚していたものが一気に壊れて、このときに残された気分というのは「精神的に強い不快感」と表現する人もいるようです。
私たちの脳は、仮想世界が破綻することで、一種の苦痛を脳が実際に感じる。脳はこの種の阻害要素によって嫌悪感を感じて、とにかく嫌な体験になるんです。つまりバーチャルリアリティ体験として望ましいのはシームレスで連続的な世界が提供されることです。
もちろんボタン一発で瞬間移動だって出来ますが、現実世界と同様にその間を移動することを好むはずなのです。
ハイパーリンクじゃなくて出入り口がある、ということ。上手に練られた出入り口になる、とみています。要するにシームレスで一貫性のある世界での体験を構築する方向に向かっているはずです。
"ソーシャルメディアという概念はなくなって、人工的でない世界の社会的なやりとりが実現することで、人が安心感を取り戻す"
「経路(Path)」とは何でしょう。私はバーチャルリアリティが「旅すること」が本質的な要素として含まれると考えているが、そう仮定するとものごとが起きるのは目的地に辿りつくまでの道のりで発生します。広告はまさにそこにあるはずで、すべての想像を超えた派手さを伴うでしょう。
遠くをみて人がどこへ行くか、どこに人が集まっているのか、今の流りが何か分かるようになります。
ソーシャルメディアという概念はなくなって、人工的でない世界の社会的なやりとりが実現することで人が安心感を取り戻します。
さらに、「距離感(Proximity)」とは何でしょう。永続的な世界にいるということは、その場所に対して制約を限定してあげることを意味します。二つのものは同時にひとつの場所を占めることが出来ません。
つまりこの世界を創るとき、各々の関係性を決めることが必要です。いくつかの場所は他よりも価値が高いし、いくつかの資産はきわめて価値が高くなるでしょう。
仮想空間に制約を加えようとする企業があれば、その目的はお金を儲けることでしょう。ルールとしてはシンプルなものです:
距離感により、音楽が聞こえてきます。
距離感により、会話が聞こえてきます。
距離感により、興味のある人と時間や空間を共有できる場所が出来ます。
「人(People)」はバーチャルリアリティにおける真の資産であり、もう一回その場所に戻りたいという気持ちや必要性を推進する源泉となります。
家、街、都市、国家によって制約を受けることはもはやなくなります。電話によって自由に誰とも話しが出来るように、バーチャルリアリティによって誰かと会うことが出来ます。
端的にいえば:
バーチャルリアリティにより、全く触れあう機会のなかった人々同士が出会うことが出来る。
世界を変えるのにこれ以上、強力なものはないのでないか。これが示唆するところは奥深いものがあるといえます。
将来、何が待っているのか。楽しみでしかたありません。
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・・・後半はセカンドライフ?とおもったのは否定しない。だけど Oculus Rift など最新技術の没入感はその次元を遥かに超えてリアリティを実現しているし、そのなかで仮想世界を創り出した場合により壮大な仮想世界が実現できるのは想像に難くない。
日本でもバーチャルリアリティ革命か?!
#VR革命はもう、始まっている。
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