2014年3月8日土曜日

【感動】ジョン カーマックの語るゲームを取り巻く技術の未来

ジョン カーマック(John Carmack)はアメリカのゲームプログラマで、id Softwareの共同設立者。Wolfenstein 3D、Doom、Quake、Commander Keenといったゲームシリーズの主任プログラマ、かつFPSの生みの親として知られる。

ジョン カーマック氏は語りだすと止まらない性格だ。言葉はきわめてストレートで「あれは試したけど失敗だ。これは現時点での成功モデルだ」と白黒をハッキリさせる語り口で、技術的なトピックを明確な指針でバッサリ切り捨てながら話していく。

QuakeCon 2013での語り口もまた見事だった。


http://www.youtube.com/watch?v=Uooh0Y9fC_M
2013/08/03


最新技術について自分の視点を明確に語っていく。

2時間半に渡るトークの中で語ったトピックは多岐に渡り、前半部分だけでも数々のテーマをカバーした。

第一部


  • ゲーム プラットフォームの推移
  • AMD ハードウェア

第二部


  • ゲーム コントローラ
  • Kinect
  • 紙媒体から電子媒体へ
  • 携帯ゲーム機
  • Android と iOS
  • クラウド ゲーム
  • 創造的なビジョンと技術
  • Unified メモリ
  • PowerVR およびタイルレンダリング

第三部


  • ディスプレイ
  • ヘッドマウント ディスプレイ
  • 動作トラッキング
  • 3D サウンド
  • 大規模ソフトウェア開発
  • 最適化
  • OpenGL

これだけのトピックを語ってくると、ファンとしてはサービス精神を強く感じる!!

全てを紹介するだけのパワーは自分にないが、面白いと感じたコメントだけいくつか紹介したい:


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第一部

  • ゲームプラットフォームの推移

「後続デバイスが現行プレイヤーを上回ることは難しい環境」
「政府による個人情報へのアクセス、監視」 
全てのプラットフォームの知識を持つことは事実上で不可能になっている。現在出ているデバイスはすでに一定成功しており、後続デバイスが現行プレイヤーを上回ることは難しい環境だ。自分は3DSやPS Vitaなど面白いデバイスも興味あるが、結局のところ限られた時間の中で全てをカバーすることは事実上不可能だ。有力なプラットフォームを見つけてそれに集中的に投資することが必要だ。

過去に政府による個人情報へのアクセス、監視が心配された。それは的中してるが、それはそれで一定バランスを保って物事は進んでいる。Googleグラスの登場の際も同様の懸念が出て世の中の全てが録画されることに対して懸念が示された。最終的にウェブ上に様々な情報が載ることは一層進んでいく。現実としてヨーロッパではXBoxの一部の共有機能は禁止された。このように一定の規制でバランスは保たれつつ最終的にはウェブに情報が共有されるのとのもたらすメリットの方がより多く出るのではないか。

第二部

  • Kinect

「Kinectは自然なインタフェースを実現出来てない」
「例えるなら 0 ボタンマウス」
Kinectは自然なインタフェースを実現出来てない。レイテンシの遅さがついて回るし、VRのように高速なヘッドトラッキングのレイテンシとそれが実現する一体的なインタフェースに比べると、まだマウスデバイスの領域を出ておらず動いても結局スクリーンを見つめ続ける必要があるという矛盾に苦しんでいる。昔、自分はAppleの 1 ボタンマウスを機能不足として批判してきたがKinectは例えるなら 0 ボタンマウスだ。Microsoftは様々な研究を進めて依然として今後に成長する可能性は秘めている主要プレイヤーだが、現時点では一歩劣る。

  • AndroidとiOS

「Googleの成長はAppleより際立って速い」
Android は大きく改善している。3年前はiOSと比べて完成度の低さが確かに目立った。しかし、ここ数年のGoogleの成長はAppleより際立って速い 。実際、JavaベースでAndroidの開発を行うのは悪くない環境になっていてダウンロードするだけで正しく動作するようになってきている、Linuxの負の遺産でまだ動かないものも確かにあるが、何よりもフリーでやってきたことのパワーが大きい。裏を返せばAppleの認証を受けることの壁の高さよりAndroidで開発を行うことの方がスムーズになってきている。

  • 紙媒体から電子媒体へ

「文書がクラウドに移行するのは明らかな流れ」
紙媒体は趣味嗜好で自分も辞典を持っている。だが開くことは殆どなくなった。時代の流れですべての文書がクラウドに移行するのは明らかな流れだ。利便性が明確であるし、これは時間の問題だ。

第三部


  • ディスプレイ

「4Kは業界側の論理で作り出されたブーム」
「結果的にOculus Riftは大きな恩恵を受ける」
グラフィックスはGPUなど依然として少しづつ改善していくが過去に3Dをはじめて実現した時ほどの革命が今後あるとは考えにくい。ただハードウェアを限界までパフォーマンス出すために行ってきたテクニックは見直すと改善の余地があるだろう。具体的には画像の圧縮方式がレイテンシのボトルネックになるのであれば広大なメモリ領域あるケースで必要なのかは個別に見直し出来る。
4Kが話題となってきているが、これは明らかに供給する業界側の論理で作り出されたブームであり、リビングで見るテレビがさらに解像度を高めたとしても、過去に感じたような大きなイノベーションにまではならないものだ。すなわち業界が3Dテレビの次に投資できるものを創りだそうとしている動きに依存しているのだ。本来、高解像度は遠くでみるテレビより近くでみるタブレットやスマートフォンでの効果が大きいだろう。消費者が置き去りの話であることは残念だが、結果的にOculus RiftなどVRは視界の間近にディスプレイを置くため、4Kによりコストダウンや技術革新が進めば大きな恩恵を受けることが出来る。この副次効果には期待している。

  • ヘッドマウントディスプレイ


「120Hzは何としても越えないといけない壁」
ヘッドマウントディスプレイについて120Hzを実現する必要があると感じている。色々と試した結果、この水準をクリアすることで没入感を生み出せる条件のひとつだと分かってきた。ゲーム開発会社からすれば60Hzの水準でさえまだ実現できていないのに、無理な目標だと感じるのかもしれない。だけど様々な工夫を重ねることで実現できるラインだと感じているし、これは何としても越えないといけない壁だ。

  • OpenGL

「モバイルの隆盛によりDirectX勢を完全に逆転した」
OpenGLが中心になることは数年前に全く想像していなかった。MicrosoftはDirectXで力を発揮していたしOpenGLはそれに比べて未成熟で成長速度も格段に劣っていた。しかしモバイルの隆盛で完全な逆転現象が起きた。Microsoftが関わってないハードウェアに対応していたことがOpen GLが幸いだった。

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語った全てのテーマについて全訳で取り上げたいぐらいであり、動画は技術フリークならひととおり見る価値あるものだとおもう。

ジョン カーマック氏が創り出す未来の発明に大いなる期待をしたい!!

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Unity3D公式マニュアル翻訳やってる人がスマホ(iPhone, Android)のゲーム開発しています。気軽に面白く初心者が遊べる内容がモットー。Blogでは開発情報をひたすら、Twitterではゲーム作成の過程で参考にしている情報を中心につぶやきます

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